今日は、国家公務員になりたいけど、実際国家公務員の実態はどうなの?という方に向けて、元国家公務員で本省&地方を経験したSORAがその実態を暴露したいと思います!
この記事はあくまでSORAの個人的な体験記になります。
国家公務員すべての実態を表しているわけではないことをご了承ください。
また、守秘義務に当たる部分は割愛させていただいております。
1国家公務員って何?
国家公務員と聞かれて、まず思い浮かぶのは、多くの方は「相棒」などで出てくる、いわゆる
「霞が関で働くキャリア」かもしれません。
近くに永田町もあり、まさに日本を動かす中心地!という感じがあります。
しかし、実際には国家公務員とは、公務員のうち、地方公務員ではなく国という大きな枠で働いている公務員という分類なので、たとえばすごく地方の田舎町のお役所であっても、国家公務員としての身分で働いている方はたくさんいます。
たとえば、警察官にも地方で採用された県警採用の警察官もいれば、国で採用された国家公務員としての警察官もいますし、
地方の法務局などは、国家公務員として転勤などで異動になった方も多いと思います。
一方の地方公務員は、県や市で採用となり、基本的に一生その地方の公務員として働くことが多いと思います(国に出向することはありますし、その逆もあります)。
そして、国家公務員には大きく分けて、総合職と一般職という違いがあります。
2総合職と一般職の違いとは?比較してみた。
総合職とは、昔で言う国家公務員1種。
つまり、キャリア(幹部)候補です。
一方の、それ以外の採用を一般職と言います。
キャリアと一般職の違いは、ざっくり言えば、出世のスピードです。
一般職の大学卒業程度から入った人間が基本的に2級(係長クラス)まで3年かかるところを、総合職のキャリアは約1年で昇進し、その後も驚くほどのスピードで階級を上げていきます。
ちなみに、高卒程度の一般職の場合、2級まで早くとも5年~8年以上かかるので、その違いは一目瞭然。
一般職の大卒程度の職員が、40~50代で4級や5級(課長クラス以上)になるところを、キャリアは早くて30代前半で実現します。
つまり、一般職で最初は自分が先輩だったのに、いつの間にか後輩だったキャリア組に抜かれ、最終的には手も届かないようなお偉いさん(天上人)になっている・・・ということが多々あります。
まさにキャリアは「雲の上の人」なのです。
もちろん、昇級が早いということは、給料もそれに伴って多くなっていきます。
それなら、圧倒的にキャリアで入った方が有利ね♪
と思ってしまいがちなんですが、実は人生的にはそうとも言い切れません・・・。
3国家公務員の天国と地獄 総合職はおすすめしない理由
[今の若手官僚の1日の例]
7:00 検討中の政策について報道が出たため、大臣が記者に聞かれた時の応答メモを急遽自宅で作成
上司の決裁を得て大臣秘書官に至急送付
9:00 出勤。政党の会議から帰ってきた局長から議員への説明資料作成指示
9:30 局長指示の議員への説明資料作成開始
10:30 資料作成完了
11:00 審議会の資料作成(政府案の検討)
11:15 国会議員から地元イベントでの挨拶文の作成依頼があり作成
11:35 自治体からの問合せへの対応
12:20 課長の指示を受けた審議会資料の修正
13:00 国会議員依頼の挨拶文を上司に説明、修正指示を受ける
14:05 議員レクのために議員の事務所に向かう
14:30 議員レク開始
15:30 議員レク終了
15:45 職場に戻る
16:00 朝の局長指示で作成した議員説明資料について課内打合せ
16:30 課内打合せを踏まえて修正
16:50 審議会資料について課長に説明・了解
17:00 国会議員から質問主意書が届き答弁書の作成開始
18:35 翌日の大臣の記者会見での質問内容が記者クラブから届き、大臣の回答メモを至急作成
19:30 大臣の記者会見回答メモについて上司の了解を得て秘書官に送付
20:00 質問主意書の答弁について上司の了解
20:30 国会議員の依頼の挨拶文が完成、メールで議員事務所に送付
21:00 秘書官から、大臣記者会見用の回答メモについて確認の電話、修正指示
21:30 大臣記者会見用の回答メモの修正完了、コピーして広報室に持ち込み
22:30 庁舎内のコンビニが閉まる前に夕飯の買い出し、夕食
24:00 局長から資料修正指示のメールが届き、修正作業
修正したものを課長にメールで送付
24:30 質問主意書の答弁書について官房総務課の審査を受ける
26:00 質問主意書の官房総務課審査を受けて修正作業
27:00 質問主意書の官房総務課審査終了
27:15 質問主意書の答弁書と参考資料を内閣法制局にメールで送付(翌日審査)
27:20 退庁出典:ブラック霞が関
元キャリア官僚・千正康裕氏が書いた「ブラック霞が関」という本が話題になっていますが、
上記は若手のキャリア官僚の一日として紹介されています。
実際、これを見たとき、「あぁその通り」と納得しかありませんでした。
この本では、若手職員は朝7時から午前3時まで仕事と書いています。
実態は、午前3時までならまだ早い方です(笑)。
私は午前5時まで仕事とかも普通にありましたし、なんだったら連日徹夜も普通にありました。
朝の5時まで仕事をして、ソファーで仮眠して、その後、朝7時からまた仕事。
たまに家に帰るんですが、家は基本的にシャワー浴びて寝るだけ。
ちなみに土日は休日出勤も普通にあります。
私の先輩は、家庭があり、子供も4人いましたが、家に帰ることはほとんどなく、
日曜日の昼に帰宅し、シャワーを浴びて昼寝して、そしてその日曜日の夕方にまた出勤する、という生活をしていました。子供に会うのもその時だけ。
もちろん、月曜日から土曜日まで泊りで働いてです。
子供は「お父さん」とほとんど触れ合うことなく、高校生になっていました。
つまり、「休日」という概念がそもそもなかったのです。
特に忙しいのは国会が開いている時。
法案作成や議員への対応が半端なく忙しかったように思います(特に議員向け資料作成・・・)。
そして、たとえばそれがない部署(たとえば総務とか)にいたとしても、班員が結局応援に出されてしまい、
その分の穴埋めを一人とかですることもあったので、仕事が終わらず・・・という悪循環(´;ω;`)
そして、「それだけ働いているのなら、さぞ残業代も多いだろう」
と思いきや、実態はそうではありません。
確かに、普通に9時17時で働いている時よりは格段に多いのですが(20代で月給50万円近くとかあった気がします)、それでも、それは残業代を大幅カットされてのことなのです。
国家公務員の実態として、超過勤務は「これだけ残業しましたよ」と報告書を出すのですが(勤務時間を管理する人間がいます)、
実際は翌月に給料が支給された後に、「超過勤務命令簿」というものを作成していました。
これがどういう仕組みかと言うと、
その月の超過勤務を月内に報告→決められた予算内で翌月給料として支給し、予算を超える残業代はカット→翌月の勤務時間命令簿で「支給された分だけ超過勤務した」という後付けの記載をする、
という次第です。
(これ書いたら上司に消されそうだけど、もう退職してるから関係ない!(笑))
予算枠を超える分の残業は「命令」を出さず、「職員が自己研鑽のために勝手に庁舎に残っている」ということにすれば、実際は働いていても「超過勤務」は発生せず、手当(残業代)も支払わずに済む。その時間を含めた実際の拘束時間を「在庁時間」と呼んでいるのだ。
出典:ブラック霞が関
僕がいたときは3分の1支給されれば上等、という感じだったように思います。
これが霞が関の実態でした。
今はこういうのが暴露されて昔よりは変わっているようですが、それでも未だに元同僚や同期からは悲鳴ばっかり聞かされています。
まぁ、普通に、
「国家公務員で霞が関に行ったら、残業しない選択はないよ。身体と心壊すのも覚悟してね♪」
ということは言えそうです。
そういう意味で、将来の幹部候補として「鍛えられる」キャリアである総合職は、どちらかと言うと頭の良さももちろんですが、何より体力が一番大切であり、それを乗り切った人間以外は基本的に脱落していきます。
僕の同期も30代にして、髪は真っ白。頬はこけて、リアルに見た目がおじいちゃんみたいになってしまいました・・・。
国家公務員の一般職の話 霞が関での一般職はおすすめしない理由
国家公務員時代、唯一の望みは思う存分寝ることでした・・・( ˘ω˘)スヤァ
国家公務員のキャリア官僚は忙しいんだね。それなら、僕は一般職になるよ!
と思われた方は、ちょっとお待ちを!
これはよくある誤解なのですが、「忙しさ」という意味ではキャリア官僚であろうと、大卒程度一般職の準キャリアであろうと、高卒程度一般職であろうと、変わりません。
総合職は、忙しさに加えて、昇進スピードが早いので、早く昇格する=責任を負う役職になる、という意味で「責任」がより重くなっていき、責任が重くなる以上、自分の都合での休みがより取りづらくなっていく、ということです。
もちろん、早く昇級して偉くなって権力を持ちたい!国を動かしていきたい!という人間にとっては、総合職はうってつけであり、プライベートを犠牲にして仕事人間になりさえすればいいんです。
しかし、霞が関にいる一般職は、昇進は確かに地方にいるよりは早いですが、キャリアよりも格段に昇級も遅く、給料も安いのに、仕事の量は変わらない、という最悪の状態になることもあります。
というよりも、むしろ早く昇級したキャリアのお偉いさんが「指示」を出す一方で、一般職は細かい雑務だったり、上の人のお伺いを立てる余計な対応に追われることも多く、上の指示と実務の狭間でより疲労困憊になる可能性も高いです。
実際、霞が関にいたとき、キャリア組もノンキャリア組も一緒に仕事をしていましたが、能力的にもとんでもなく優れていたノンキャリアの方も多かったし、その逆に勉強はできても仕事が全然できないで文句ばっかり言うキャリア上司もいました・・・。
総合職の国家公務員試験に受かっていたのに、最後の官庁訪問だけがダメ(これが一番の難関とされています)で、結果的にノンキャリアになったという方も大勢いましたし、能力的には総合職も一般職も大きな違いはなく、むしろキャリア組は「俺が賢いんだ」という変なプライドが高い人も多い分、余計な雑務を増やしたり、特にお偉いさんの幹部などには、これまでの組織図を勝手に作り替えて「こうした方が効率がいい」などと、変な勤務体系を押し付けたりする困った人間も多かったように思います。
ただ、それでもやっぱり力を早く持てる、という意味では総合職は圧倒的でしたし、もしも霞が関で働きたい!と思うのであれば、一般職に妥協することなく、年齢制限ギリギリまで総合職を狙った方がいいかもしれません。
一番おすすめの国家公務員の天国の話 国家公務員はおすすめ!
「もう疲れたよ・・・おとっつぁん・・・」
ここまで聞くと、
国家公務員は総合職もキツイし、一般職も結局キツイ。それなら、ならない方がいいんじゃないか?
と思われる方も多いと思いますが、
上記はあくまで「忙しい部署」の話です。
言うなれば、国家公務員の闇の部分であり、それは民間企業にも言えることだと思います。
「国家公務員なんて絶対ならない!」と思うのは早計です。
僕は国家公務員を退職後に、大手外資民間に転職し、その後、今の企業に転職しました。
そのことを踏まえると、
「国家公務員はなんて恵まれていたんだ!」
と衝撃を受けることになります。
結論を書くと、国家公務員にはなるべきです。
福利厚生、そして何より「刑罰を受けない限り、まずリストラされない」というとんでもないメリットがあるからです。
コロナ失業が大きく取り上げられる現代ですが、公務員には(正直な話)まったく関係ありません。
地方のことは分かりませんが、少なくとも国家公務員は、「どんなに仕事ができなくても」「どんなに病気で休んでも(3年間)」
ただ、仕事をしていさえすれば(コピーを取るだけでも、資料整理だけでも、シュレッダー係だけでも)、クビにはなりません!
これは法律的にそう決められているからであり、たとえ上司が「こいつ仕事できないからクビにしたい」「こいつ気に入らないからクビにしたい」「こいつ休みまくるからクビにしたい」と思ったとしても、絶対に無理であり、確固とした身分が定年まで認められているのです!
今の時代、どんな大手企業であっても、大事な会議をすっぽかしたり、全然仕事できなければ、「解雇」という伝家の宝刀が振り下ろされるはずですが、公務員に限っては、そもそもその刀自体が存在しない、というとんでもない身分保障があります。
逆に、どんな時にクビになるかというと、刑事罰を受けたり、病気で3年以上休んでしまったり、まったく全然仕事をしないで数年間出勤だけしていた場合だけです。
だから、最悪仕事をしたくなければ、出勤をして適当に仕事してるフリをこなして(周りからは白い目で見られるでしょうが)、有給は全部取得して、病気の時は病気休暇をフルに90日取得する、ということも可能です。(;´▽`A“
ここまで身分が保証されている会社は、日本どこを探しても公務員だけだと思います。
そして、だからこそ、「まったく仕事できないおじさん(コピー取るだけ)」だったり、「90日病気で休んだ後、ちょっと出勤してくる人」なども許されています。
これは、強固な身分保障のおかげであり、こういう人を否定すると、それはもう公務員の身分保障が崩れ、副業禁止規定だったり、利害関係者規定、団体交渉権や警察にいたっては団結権などの禁止、という「身分の拘束」というデメリットを覆すものではなくなるわけです。
それだけ、「公務員の身分の安定」というのは重要だということ。
「公務員として身分の安定は保証するよ。その代わりいろいろ我慢してね」という事情があり、逆に言えば、ほいほいその時の人事でクビにできるような不安定さであれば、「国」を安定して動かせなくなる、というデメリットが存在するのです。
つまり、何が言いたいかと言うと、「この強固な身分保障を存分に利用しよう!」ということです。
・まず、クビにならず定年まで働ける。定年後は再任用制度もある。
・共済年金で、もらえる年金は厚生年金と同じ。つまり、国民年金より多い。
・病気の時は、有給ではなく、病気休暇というものが90日認められている。
・最悪3年間病気で休職しても大丈夫。その間、休職手当や傷病手当金が支給される。
・育児休暇制度も充実しており、男性も取得可能。
・出産後も働いている女性が多く、復帰しやすい。そういう部署もある。
・有給は法的に年間20日、最大40日自由に取得できる。
・国家公務員宿舎があり、月数千円~と周囲と比べて破格の値段で生活できる。
などなど、民間企業から見たら、「天国」のような福利厚生が待っています。
では、これらを存分に生かすにはどうしたらよいのか?
一番おすすめの国家公務員の部署・職種はここだ!
これから、国家公務員を志望する方、霞が関で疲労困憊になっている方に向けての一番のおすすめは、霞が関ではなく、地方の大きな「局」などに採用・異動することです。
国家公務員というイメージは、メディアだと霞が関が取り上げられることが圧倒的に多いのですが、
実際は、霞が関にいる人間は一般職含めてエリートであり、地方で働いている国家公務員の方が多いです。
そして、地方の国家公務員の最大のメリットは、霞が関と違って「代わりが利く」部署も多いということ。
これも国家公務員の省によって異なりますが、ねらい目は「採用が多く、人数も多く、予算も多いような省の地方局」です。
たとえば、予算が圧倒的に多く、残業代も多い「財務省」の地方局。
その中で、人数や採用も多いと言えば、「税関」など。
そして、地方の税関と言えば、東京管内で言えば、「横浜」「成田」「羽田」など。
という感じで絞り込めます(これはあくまで個人的な推察ですが、財務省に入れるなら職種は財務省系がいいです。この辺は別途記事にします)。
そういうところは、基本的にシフト制だったりもするので、休んでも「代わりの人間」も多かったり、結果的に有給をフルに取得できたり、病気で休みやすかったり、育児休暇が取りやすかったりします。
逆に、地方は地方でも「人数が少ない」出張所などは休みは取りにくいかもしれません。
実際に僕も数年だけ地方に出向していましたが、「同じ公務員でもこんなに違うのか!」というくらい、日々まったりした時間が流れ、育児休暇明けの奥様とのんびり話し、「仕事全然できないのにめちゃめちゃ元気なおじさん(どこにでもいました)」と社会情勢を語り・・・という最高の人生を歩めました(笑)。
僕も自分の夢のために退職することがなければ、間違いなく、この地方局でのんびりと定時退庁をし、有給をフルに取得し、休みの日は子供と遊ぶ・・・という理想の人生を選んでいたと思います。
霞が関という地獄と、地方局という天国。
同じ国家公務員でもその人生はまさに天と地の差があります。
霞が関で学んだことは、今の業務にも役立っていますし、実際人脈だったり、転職にもすごく役だっています。
そのため、自分のキャリアを考えるなら、霞が関で「修行」するのはすごくいい経験でした。
しかし、そこで一生身体と心を犠牲にしながら、「公僕(まさに国というか上司と議員の奴隷)」として働く人生は僕には無理でした。
ただ、これから公務員になりたい!という学生の方や、今公務員だけど辞めたい!という方は、霞が関の本省や本庁以外の所を狙ってみる、ということをお勧めしたいと思います。
国家公務員時代、本当に大変だったけど、充実していたのも事実でした。もう年齢制限で普通には入れないけど、どうやら再チャレンジ制度もあるらしく、30代・40代の採用もあるようです。気になった方はぜひ♪
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